日々ちょうこく

名古屋のお坊さんのブログです。文章練習も兼ねて、見た事、聞いた事、思った事を書いていきます。 たまに抹香臭い事も書きますよ。

照らされる!

梅雨はどこへ行ってしまったのかと思うくらいの天気でした。

 

今日は平日ですが、一件法事が勤まりました。奥さんの一周忌ということでした。

旦那さんと息子さんの2人だけの小規模なご法事でしたが、その分じっくりとお話をする事ができました。

お勤めの後の法話で、なぜ手を合わせるのか、どういう気持ちで仏壇の前に臨むのかと言う事をお話ししました。その中で、仏さんの光のことについてのお話しになりました。

 

光とは、ものを見えるようにしてくれるものです。光に照らされる事によって姿が初めて見る事ができます。仏様の光に照らされる事によって、初めて私の本当の姿を見させてもらう事ができます。

では、光を通して何を語りかけてくれるのでしょうか。

それは「あなたはひとりではないんだよ」と言う事だと思います。

「ひとりではない」と言う事は、「あなたは孤独ではない」と言う意味ももちろんあると思いますが、それよりも先に、「あなたはひとりで生きているんじゃない」「ひとりでは存在する事すらできない」と言う事を教えてくれているのだと思います。

無数の命を頂いて維持している私の体、様々な方々、縁によって育てられた私の心。

どれ一つとって見ても、他から与えられたものではないでしょうか。

その姿を見させていただくのが、仏様の光の力なのだと思います。

そして、仏壇の前に手を合わせるということは、願いを聞いてもらうんではなく、私の姿を照らして見えるようにしてもらい、「私と出遇う」ということではないでしょうか。

 

法事の施主の旦那さんは、どうしてもお願いごとをしてしまうと言っておられました。

「私も、いいことないかなぁと手を合わせてしまう事があります」と、2人で笑っていました。

そういった姿を見せていただくのもまた、「私と出遇う」と言う事だと思います。