その時がきたら。
「イキ」
天地に
うぶ声あげてから
よる ひる
やすまの このイキも
時がきたら とまります 榎本栄一
本日はお寺でお通夜が勤まりました。
このところは会館での儀式が主流なので、お寺で縁を持っていただく事はありがたいことです。
ご遺族の方々はやはり疲れが目立っています。私も儀式を担当しさせていただくと、不慣れなのも原因でしょうが、終了後はクタクタになってしまいます。人を1人送るという仕事は、とても大変な仕事なんですね。
ずっと以前の葬儀のことですが、90歳を超えて元気に過ごされていたおばあさんが、突然コロッと亡くなられた方の葬儀をさせていただいた事があります。
90歳を超えられていたので、喪主の息子さんに、「長生きの大往生でしたね。」と声をかけさせていただいたのですが、喪主さんは「まさか母が突然亡くなるとは思ってもいなかった、もう少し生きていてほしかった。」とぽつりと言われた事があります。
私自身、少し軽率な言い方だったと反省をしたのですが、いくつになっても、「死」と言うことの突然さというのは、避けようがありません。
今の今まで私を生きながらえさせてくれていた吐息が、ある日突然止まる。これは避けようの無い事実なんですが、「まさか本当に止まるとは・・・」と、なかなか受け入れられないというところが本音なのでしょうか。
イキは時がきたら必ず止まる。それはいつなのかは私たちには推し量る事はできません。そんな不思議ないのちを生きさせていただいているという実感を、最初に紹介した詩は表しているのだと思いました。