こころの残り香。
今週末から仕事が休みになる方が多いかと思います。今回の年末年始は曜日が上手い具合にいって、長い人だと9連休になっているそうです。
学校は23日の祝日から休みのところが多いそうで、お月参りの際に一緒にお勤めをしてくれる子供さんが増えました。長期休暇の際は賑やかになって大変有り難いです。
子供にとって、お参りは退屈なものです。実際私も幼い頃はそうでした。(大人になっても退屈なものかもしれません)しかし、中にはお参りを楽しくする子供もいます。
ある時、学校が休みのため子供が一人おり、おばあさんと一緒にお参りをしました。
お月参りの時はいつも「仏説阿弥陀経」というお経を読誦していますが、その子たっての希望で、皆さんで読む「文類偈」を一緒にお勤めをしました。
その子に「なんでお勤めが楽しいの?」と聞くと、「おばあちゃんがいつも読んでるから。読むとおばあちゃんに褒められる」だそうです。
大人の背中を見ながら育つといいますが、言われたおばあさんは照れながらも大変嬉しそうでした。
私はお勤めをするのが好きですが、好きになった理由を思い出させていただきました。
幼い頃、実家のお寺のお盆かお正月参りの時、亡き祖父と一緒にご門徒さんのお宅へお邪魔してお勤めをしました。ご門徒さんは大変喜んでくれて、私をすごく褒めてくれました。それがきっかけだったかと思います。
経験、行動などが私の心にかすかに残り、私の心に影響を与えていくことを、お香の残り香がモノにとどまることに例えて「薫習(くんじゅう)」と言います。私の「祖父とご門徒さんに褒められた」という経験が、今の私に確かに影響を与えています。
(いい経験、行動だけでなく、もちろん悪い経験、行動も残るのが薫習です。)
お月参りで一緒にお勤めをしてくれたその子は、この先お勤めをすることから離れていってしまうかもしれません。しかし、この経験が心に留まって、いつか思い出していただけたらなと思いました。