日々ちょうこく

名古屋のお坊さんのブログです。文章練習も兼ねて、見た事、聞いた事、思った事を書いていきます。 たまに抹香臭い事も書きますよ。

周りはみんな先生だらけ。

今日は毎月恒例の定例布教の日。ご門徒さんと一緒に講師の先生のお説教を聞かせていただきました。(写真を撮り忘れてしまった・・・。)

 

「万山薬草」という言葉を紹介されました。

 

お釈迦様に帰依していた人の中に、ギバという医者を志す方がいました。

ギバはお釈迦様に「優れた医者になるにはどうしたらよいか」という質問をしました。

お釈迦様は「この先に見える山の中で、薬にならない草を見つけてきなさい」とギバにおっしゃいました。

ギバは何日も何日も山の中で薬にならない草を探し求めました。そしてついにお釈迦様の元へ返ってくると、お釈迦様は「薬にならない草は見つかったか」と尋ねました。

ギバは「そんな草は見つかりませんでした。万山薬草です」と答えました。

すると、お釈迦様はギバに「よくぞ気がついた、あなたはよい医者になるだろう」とおっしゃいました。

ギバはその後目標通り優れた医者になったそうです。

 

私たちが生きていく中で出会っていく出来事は、楽しい事、嬉しい事、辛い事、悲しい事と、いろんな事があります。当然、辛い事、悲しい事はなるべく避けて通りたいものです。「こんな辛い事、何の役に立つんだ」と思う事も多々あると思います。

私たちが生きていく中で出会っていく事は、全てまんべんなく、私を形作っていくものです。

なるべく避けたいこと、嫌な事も、私に必要な事、私を形作る一部です。私には役に立たない出来事だ、必要ないことだと決めつけるのは、私の狭い了見、「ものさし」で計っているに過ぎません。

この説話では、薬にならない草は無い、私の出会いの中で、私に必要ないものなど一つもないということを言っているのではないでしょうか。

 

講師の先生はまた、作家の吉川英治さんの「我以外皆我師也」という言葉を紹介されました。

「私以外のものは全て、私の先生」という意味です。

 

私たちが出遇う出来事すべて、私の先生だ。そういう受け止め方が、生きるためには本当に必要になってくるだと思います。